早朝から用意して塗り終わるころにはとっくに日が暮れています。塗りだけでも1回でそんなに時間がかかります。それを何工程でも塗ったら乾かし水研ぎし、内側・裏・外側・模様のついた所を塗ります。模様の所が1番大変な場所で、1番力を入れる所になっています。塗りといっても刷毛が汚れるので、汚れて漆の色が汚くならない様に気を使います。雨や小雨が降ると色彩が悪く、乾かさないと塗る事も出来なくなります。温度と湿度を調整して乾かして作品に仕上げます。ほぼ毎日休みなしでやらないと出来ません。根気と時間が必要なのです。
もう何十年も毎日乾漆作品の制作し、家具も製作しています。どちらかが片手間になるのではなく、どちらも本業です。作品作りと家具づくり、2つの事を常にしないとどちらも出来上がりません。乾漆作品は夢を形にします。そこには細やかで新しい技術を必要とします。新しい技術は夢ある家具を育みます。家具づくりはさらに技術を進化させ、乾漆作品を高みへと導いてくれます。私にとっての理想の物作り。切り離す事はできません。